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ステークホルダーにとっての重要性の特定 | CASIO

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ステークホルダーにとっての重要性の特定

経済

カシオグループではここ数年、日本を除くアジアにおける売上高が急激に伸びています。海外売上高比率の高まりに伴い、事業展開地域における影響力が増すと同時に、地域に対す
る企業としての責任もますます注目されてくるでしょう。その上で経済面で課題となるのは、海外での現地採用の上級管理職比率をいかに高めていくかということです。現地経済への貢献という側面もありますが、現地経済に精通した人材に責任を持たせることで、現地での様々なコンフリクトを防止するリスクマネジメントの役割も果たすと考えます。今後はこれらの事実をきちんと調べてできるだけ情報開示され、グローバル人事戦略を展開されることを期待します。また、現状の情報開示では海外での現地調達が現地の経済にプラスになっていることが読み取れない状況ですので、国内と海外での生産高の比率や海外生産における現地調達比率についても、現地経済への影響についてしっかりと説明をしたうえで調達比率を開示することが望ましいと考えます。
その他、気候変動が事業に与えるリスクに対して、財務リスクとして捉えた取り組みが重要です。カシオグループではタイで発生した洪水による工場への実害が確認されており、これまで以上に管理に力を入れる必要があるでしょう。

環境

電子機器メーカーにおいてはサプライチェーン全体を通じて環境に負荷がかかる課題が多く、特に原材料については、製品の材料調達そのものにとどまらず、パッケージなどで使用される紙製品の調達も含めて自然資本を減少させないという視点が大切になります。そのような中、カシオグループでは「紙の調達方針」や「生物多様性ガイドライン」を策定しており、基盤は整ってきていると認識しています。今後はさらに具体的な目標設定やアクションを設定し、透明性を保ちながら継続的に実施されることが重要となるでしょう。
カシオグループの特徴的な取り組みのひとつとしては、いちはやく腕時計にソーラーパネルを取り入れるなど、商品を通じたエネルギー削減では業界を牽引する役割を果たしています。また、このような環境対応商品にはラベリングを行い、「グリーンスター商品」として顧客に対して環境側面情報を示しています。今後はさらに一歩踏み込んで、その商品がどれだけCO2削減に貢献しているのかなど情報の可視化に着手することも重要であると考えます。
GHGの排出削減に関しては、長期的な視点が重要であり、「2050年80%削減」という意欲的な目標を設定していることを高く評価しています。カシオの環境宣言では、再生可能エネルギーを事業活動に取り入れることが謳われており、省エネルギーの推進に加え、積極的な活用とその情報開示が望まれます。今後は、企業の削減目標の新しいグローバルスタンダードになりつつある『Science Based Targets』にも参加し、目標値の具体的な根拠を示すことによりさらに訴求力を高め、業界全体に影響を与えることを期待します。

労働慣行

労働慣行における重要課題としては働きやすい職場環境の整備を行うことが第一歩となります。特に「育児」や「介護」などで時間に制約のある従業員には、できるだけ早くフルタイム勤務に戻れる仕組みづくりが重要です。そのためには、恒常的な残業を削減し、メリハリのある働き方を推進すべきでしょう。健康経営として健康診断データを部門ごとに集計し、有休取得率、残業時間などを比較することで、データをマネジメントに活かす取り組みが重要です。
また、今後女性管理職比率をいかに高めていくかということを考える際にも、まず管理職の実労働時間も確認し情報開示することが求められます。管理職が長時間労働をしていると、女性が管理職になりにくい理由にもなるからです。そして主任クラスの女性比率をいかに多くしていくかを考え、取り組むことで課長職へ登用できる女性社員も増えていくだろうと考えます。いわゆるパイプラインの構築です。その際、ポジティブアクションとして女性のみにこれまで不足していた能力開発機会や仕事の経験機会を意識的に提供することも大事になる場合もあります。同時に、管理職への登用基準では男女で差をつけないという視点がポイントになります。これまで多くの企業では、仕事ができる人を管理職に登用するため、部下をマネジメントする能力が弱い管理職も少なくないです。管理職の登用基準に部下育成などマネジメント能力を含めるべきです。また、相談窓口などを活用して、従業員の間にパワハラなどの問題が潜在化していかを確認することも重要です。
職場環境の整備と並行して進めなくてはいけないのが研修および教育の側面です。社員に求める能力として、将来の変化に向けて対応できる能力を育てていくことだけでなく、自己啓発への時間を作ることが大事です。
これらの課題解決にますます注力し、ダイバーシティマネジメントを進めるためには、他方で、多様性の価値観を持った人材を企業組織として統合するために、経営理念の浸透が大事になります。カシオグループが大切にしている「創造 貢献」の経営理念の浸透を進められることを期待します。

人権

グローバルに展開するカシオグループにおいては、途上国をはじめとした海外で発生している人権問題に直面するリスクを常に抱えています。一方、カシオグループでは国際条約などの支持についても触れた「カシオグループ 人権尊重に関する基本方針」を策定、人権チェックリストも整備しており、基盤づくりはすでに進められています。これらを踏まえ、さらに実効性を高める重要な側面を導き出しました。
サプライチェーンを辿ると、特に製品の原材料の採掘などが行われる途上国においては、実態把握が難しい「先住民族の権利」に関わる人権問題が発生するリスクがあります。また、従業員の権利である「結社の自由と団体交渉」についても、本社労働組合との対応だけでなく、海外拠点、派遣社員等、サプライチェーン上の他の従業員についても自由が認められるために十分な情報収集とリスク管理が必要です。また、国内において掌握が難しい人権に関するリスクとして「強制労働」と「非差別」を挙げました。特に刑務作業における部品組立などの作業においては労働賃金が発生していないケースがあり、国際条約上は強制労働にあたる可能性があることを認識しておくべきでしょう。非差別については組織内における問題でもありますが、無自覚的な差別意識が含まれ、被害者の声を集めることが難しく、組織横断的な専門のメカニズムが必要とされます。
リスクを把握するための「人権評価」システムも重要です。各事業拠点を中心に、既存のホットラインに加え、独立性の高い「苦情処理制度」の整備を図ることが望ましいでしょう。特に「サプライヤーの人権評価」は資料の収集だけでは限界があり、監査機能を強化した人権マネジメント体制が必要です。
今後は具体的な優先課題をバリューチェーン全体で、一つ一つ対応していくべき時期に来ていると思います。特に御社が用いられている人権チェックリストは導入部分として大変優れていると思います。ぜひ、その充実と実効性を高める取り組みを続けていただければと思います。

社会

カシオグループでは、一部の製品において市場シェアの高いものがあり、反競争的行為に関連するリスクがあるものの、自らの倫理行動規範に「贈収賄の禁止、および接待・贈答の制限等」の項目を設け、腐敗防止に向けて取り組んでおり、名実ともにコンプライアンスの徹底がされていると見受けました。しかしながら、国内法の整備が進んでいない途上国におけるオペレーションについては法の遵守だけでは不十分な部分があり、国際法や国際行動規範を尊重することが重要となります。このような背景から国際的には「腐敗行為」が重大なビジネスリスクになる事例も増えており、重要度を上げて取り組むべきでしょう。
また、カシオグループでは「資材調達方針」を制定しておりますが、グローバルに伸張するサプライチェーンの中における方針の徹底には、児童労働をはじめ課題が多く、「サプライチェーンマネジメント」についても同様に重要な側面としての取り組みが期待されます。
ここで取り上げた2つの側面については、今後も継続的かつ重要度を高くしたまま取り組みを進められることを期待します。
最後に、カシオグループにおいては海外での売上高が全体の6割を超えているという現状がありますので、今後は海外の地域社会にさらに目を向け、特に教育や女性といった事業とつながりやすいテーマにおいて地域社会とのエンゲージメントをより一層進められることを期待しています。

製品責任

メーカーの責任として、提供する製品に対する製品責任は何にも優先される重大な事項です。とりわけ消費者にとって製品そのものだけではなく、製品に関連する情報提供は企業の姿勢を知るための重要な手がかりとなります。御社においてもこうした情報提供に関し、既に重要なことに取り組まれており、ますますの継続的な取り組みが大事です。一方で、グリーンスター商品のコミュニケーションにはまだ課題があるように感じます。多くのお客様にグリーンスター商品を選択してもらい、カシオのCSRへの理解を深めてもらえるよう、さらなる訴求が必要だと思います。
同様に、製品の安全衛生についてもメーカーとして、普遍的な責任が求められるテーマです。ボタン電池の誤飲や、火災などの安全面に関する取り組みは既に徹底して取り組まれている一方、一つの事故が社会に与える影響は大きく、常に完璧を目指した取り組みの継続が期待されます。また、昨今消費者の関心が高まっているテーマである、顧客プライバシーの管理については、そのリスクの大きさから重要度が高いと言えます。
製品責任の取り組みとして基本となるものは消費者とのコミュニケーションであり、それがCSRの役割であると考えます。近年ではエシカルなどの消費者意識も高まっていますので、コミュニケーションを通じた消費者教育を進められることを期待しています。

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