1. カシオデザイン
  2. ワークス
  3. vol.18 バックトゥーザフューチャー 「Vintage “A100”」
vol.18

バックトゥーザフューチャー 「Vintage “A100”」

日々、私たちが生み出しているデザインを、
開発の流れを交えて担当デザイナー本人の視点から語ります。
今回は「Vintage “A100”」のデザイン開発ストーリーをご紹介します。

欧州で生まれた「CASIO Vintage」

皆さんは「CASIO Vintage」をご存知でしょうか?元々は1980年代に生まれたカシオの実用デジタルウォッチのことで、それらを欧州の女性たちがアクセサリー感覚で身に着け、インスタグラムに#casiovintageといったハッシュタグでアップし始めたことから自然発生的に生まれた愛称です。実際に「カシオのヴィンテージモデル」としてリスペクトする声もあるそうです。そこでCASIO Vintageのデザイン開発にあたっては、“カシオの新しいヴィンテージデザインとは何か”という、ある意味矛盾したことを考えるところから始めました。これまでは時計のトレンドから新しいデザインを考えてきましたが、CASIO Vintageでは“カシオの歴史”を探ることになる。それは新しい挑戦の始まりでした。

伝説の時計「F-100」との出会い

カシオの商品開発は、まずデザイナーや企画、営業が一緒にチームを組み、商品を考えることから始めます。CASIO Vintageの場合は、チームのメンバーと一緒に過去の商品サンプルを見ながら会話を進めました。そこで目に留まったのが、「F-100」というレトロなデジタルウォッチ。早速社内の資料を探してみると、当時のプレスリリースが見つかりました。発売されたのは1978年で、当時はメタル製のデジタルウォッチが主流でした。しかしこの「F-100」は、当時としては革新的だった、黒い樹脂ケースを使用する若い世代に向けた意欲作だったことを知りました。デザインも面白いし、何よりも自分たちが欲しい。これをCASIO Vintageとして復活させるべきだと、皆が直感的に思ったのです。

F-100 再生に向けた試行錯誤

こうして目標は決まったのですが、そこからが大変でした。あまりにも昔の商品だったため、設計図面が残っていなかったのです。そこでノギスで時計を細かく計測し、数値をパソコンに入力して3Dデータ化することから始めました。しかし、こうしてじっくりF-100と対峙することで、先輩デザイナーが熟考したであろう文字の配置や線の細さに対するこだわりを感じることができました。オリジナルのF-100は黒い樹脂ケースでしたが、アクセサリー的に時計を楽しむという欧州のユーザーを意識してメタルルックの外装に変え、金属感が映えるシャープな面構成とCMFを心掛けました。デザインを進めながら「CASIO Vintageに好感を持つ欧州の人々はこの時計をどう見てくれるのだろうか?」という不安もありましたが、私たちは最初の直感を信じ、実際の現地の声を聞くために欧州へ向かいました。

海外で確信した成功へのステップ

カシオのデザイナーや企画、営業スタッフは、自分たちの商品が世界でどう評価されているのかを知るために、定期的な海外リサーチを行っています。現場の声を直接聞き、商品開発の参考にするためです。それを今回のCASIO Vintageでも行うことになりました。サンプルを持って回ったのはパリ、ミラノ、ベルリン、ハンブルグ。現地スタッフと一緒に、欧州マーケットを良く知る人々へのインタビューを行いました。当初このデザインはゴツすぎるかなとも思っていましたが、女性からの評判もよく、自分たちの感性が正しかったのだと手応えを感じました。また当初は落ち着いたCMFで考えていましたが、もっと遊び心がほしいという意見があり、ゴールドやブラックを掛け合わせてガジェット感を強めました。こういった過程を通じて、私たちの直感は確信へと変わっていったのです。

「過去から未来への旅」エピローグ

商品名は「A100」となり、発売時期も決まったところで、TVゲームの名作「パックマン」とのコラボレーションの話が舞い込んできました。F-100と同年代に生まれたゲームなので、共通するストーリーまで楽しんでもらえるデザインにしたかった。ポイントはG-SHOCKで使用しているレーザー加工技術。この技術を使って金属ブレスレット上にゲーム画面を描くことで、時計全体でパックマンの楽しい世界観を表現することができました。ユニークな時計を数多く手掛けるカシオの技術が、アイデアを形にする後押しをしてくれたのです。こうして過去と未来がミックスされた、可愛いくてクールなコラボモデルが完成しました。

今回の「A100」では、スタイリングやCMFだけではなく企画やリサーチ、ストーリー作りにも積極的に関わることができました。
常識にとらわれない自由な発想や活動を育む土壌が、カシオにはあります。
「A100」のデザイン開発は、カシオの歴史から新しいデザインを学ぶ体験の旅になりました。

関連する記事